通訳者が行なう訓練法のひとつである『シャドーイング』について、前回に引き続いてご紹介いたします。

【通訳訓練法について―シャドーイング①】

 

この訓練は主に「音声認識力」や「意味把握力」を強化することを目的として行なうことはお伝えしました。

 

日本人が英語を聞き取りにくい最大の理由である、日本語とは違う英語の音とリズムの体系をつかむことに意識を置くことで、「音声認識力」を強化することができます。

 

また、意識を「言葉の意味」に置くことで、英語の音がひとつひとつの単語ではなく「かたまり」で一気に発音されていることが分かります。

 

「かたまり」で英語を捉えることで、まとまった意味として情報処理することができます。単語ひとつひとつを情報処理していては、相手が話すスピードで理解することなどできません。

 

例えば、“I have nothing to say with regard to this problem.”とあれば、

“I / have / nothing / to / say / with / regard / to / this / problem.”とぶつ切りに処理するのではなく、“I have nothing to say / with regard to this ploblem”(何も言うことないですよ/この問題については)と、かたまりで「音」も「意味」も処理していきます。

 

音と意味のかたまりを、イメージや絵にして処理していく感じですね。

 

この『シャドーイング』は、意識の置き方を変えることで何通りもの効果を得ることができます。

 

例えば、英語が聞こえてきて、その意味・イメージが自分の頭に浮かびます。そのイメージを自分が他の人に伝えるつもりでシャドーイングすることにより、そこで使われた語彙や構文、表現を体得しスピーキング力の向上を図ることもできます。

 

このように、たとえ同じ素材であっても、幾通りものトレーニングに活用することができます。

 

『シャドーイング』に限ったことではないですが、いわゆる訓練とは、その効果を裏付けるノウハウや理論の理解とともに、「分かる」「できる」から「(頭で考えなくても)できる」「(無意識に)できる」という段階に持っていくための反復練習が必要となります。

 

その点では、内容が分かったからといって次から次へ素材を変えるだけでなく(それはそれで別の効果を生みますが)、一つの素材をしつこく繰り返すことで、技術を体得するということができるようです。