2017年の年末に、『The 世界力2』というドキュメンタリー番組が放送されました。
日本人初のグランドスラム獲得を目指すテニスの錦織圭選手が、手首のケガで苦しんだシーズンや、そのリハビリを通して得たものについて語っていました。
またかつてNYヤンキースに所属した元メジャーリーガーで、ワールドシリーズでMVPを獲得するなど大活躍された松井秀喜さんが、「日本人が世界で戦うための心構え」についてお話されており、改めて世界のトップで勝負する方々の考え方に感動しました。
とくに印象に残ったのは、2006年の試合中に松井さんが左手首を粉砕骨折する大けがをされた時のお話です。
体が資本のアスリートにとって、選手生命を脅かす大けがをすることは、これ以上ない不運であるに違いありません。
後悔、悲しみ、いらだち、不安などあらゆるマイナス感情が頭によぎることが、自然なことだと感じます。
しかし、その時松井さんがその時に考えていたことが次の言葉でした。
「受け入れるしかなかった。受け入れて、その上でどうするか。もちろんしっかり治すということが大前提になってくるけど、気持ちの持ち方としては、怪我をする前の自分自身よりも、良い選手になる。良いバッターになって戻ってくる。そうなるための練習をしていこうって。」
また、鳴り物入りで日本からやってきて、世界一のチームであるヤンキースでのデビュー戦で、ホームランを放ってみせた時のことを聞かれて、
「特別に何か違うことをしたかと言えば、何もしていない。1アウト満塁で最後に甘い球がきたので、運良くこういう結果になった。」
聞き手の、「もしここで打てなかったら?」とは考えなったのか?という問いに対して、
「そこから入ることはなかった。自分の出来ることをやって、あとは出た結果を受け入れるしかないですから。反省・準備・反省・準備、その繰り返しです、毎日。」
「プロスポーツ」の世界に限らず、あらゆる分野で活躍している人たちの言葉は、シンプルな考え方の中に凄みが感じられます。
反省・準備・反省・準備と、そのサイクルを回し続けることは、「通訳」の世界においても仕事に対する基本的な姿勢であると教えられます。