このブログでも何度か触れていますが、現場で信頼に足る仕事をするために出来る唯一の方法は、準備をするということにつきます。

 

例えば、ある講演会に外国人のスピーカーが登壇する、あるいは聴衆者に外国人が含まれるといったケースで、通訳の依頼を受けたとします。

 

この場合、どのように通訳者は準備するのでしょうか?

 

まず、講演者のプロフィール、背景、関連情報と、当該講演のテーマについて理解します。

 

講演の原稿や関連資料がある場合には、主催者や窓口になる組織を通じて講演者から資料提供を依頼し、入手します。

 

こういった資料が早めに手に入る場合は、それを待って取りかかる方が効率的かつ効果的に準備ができます。

 

しかし直前まで資料がもらえないなど、十分な時間がない場合は、講演者の名前や講演のテーマをたよりに、ネット上の情報や文献などにあたり、できる限りの情報収集をします。

 

そこから講演のテーマや内容に関連する専門用語を調べ、内容を理解し、それらの用語集を作ります。用語集は、通訳の最中になかなか使えるものではありませんが、その作成過程で理解や記憶を促すことと、本番でのいざと言う時に保険となります。

 

また、こういった準備と平行して、講演会が行なわれる背景や目的、また聴衆者は専門家が多いのか、一般聴衆なのか、主催者は何を望んでいるのかなど、通訳が必要な部分だけでなく、その場の全体像についても理解をしていきます。

 

それらをもとに、どの程度専門用語が使われるのか、例えば一般聴衆が多い場合どれくらい分かり易い表現が必要となるのかを考慮に入れて準備を進めます。

 

また当日、可能なかぎり講演者との事前打合せを行い、自分で調べ、理解することが難しい点について質問項目をまとめておき、効率的に知識の補充を行ないます。

 

通訳者がその分野においてどれほどの経験があるか、またどれだけの事前資料が時間的猶予を持って用意されるのかなど、当日の通訳の品質を左右する要素はいくつかありますが、常に与えられた条件の中で、ベストの準備をするということ以外に、現場で通訳者として貢献し、信頼を得る手段はありません。