お客様が通訳を依頼するにあたり、派遣される通訳者の質が気になるのはもちろんですが、最も重要視されるのは、「その通訳者は、我々の業界を理解していますか?」ということです。

 

通訳者に必要なスキルとして「語学力」「通訳技術」「専門知識」があげられます。このうち「語学力」や「通訳技術」については、プロの通訳者に成る過程で、通訳スクールや、国内外の大学・大学院に設置されている通訳コースなどで学ぶ事ができます。

 

問題はここからです。
訓練により身に付けた「語学力」「通訳技術」を資源とし、仕事を始めようにも、誰もが実務経験ゼロからのスタートです。

 

通訳会社に登録するにしろ、実務経験や通訳スキルが問われ、登録する事すら出来ない事もままあります。

 

通訳者を依頼する顧客や、その期待に応えなければならない通訳会社からすれば、至極当たり前の事として、現場で質の良い通訳サービスを受けたい、提供したい。それには、当該の仕事と同じような、もしくは類似する事案を多く経験した、かつ通訳技術も安定した通訳者に依頼したい。仕事の大半は、程度の差こそあれ、何らかの専門的な会議となりますので、必然的に何らかの専門分野や得意分野を持つ通訳者に仕事が集中します。

 

ここで、通訳会社としての役割は、

  • 依頼を受けた仕事に対し、実務経験や通訳技術をふまえ、最適な通訳者を選定すること

となります。

 

しかし、中期・長期的な視点で考えると、ただ①だけを継続していると、いつか、いずれ困った事が起こります。

 

例えば

  • 通訳の仕事が立て込む繁忙期に、当該の仕事にふさわしい通訳者が見つからない

  • 各分野で実務経験の豊富な通訳者だけで仕事を担い、経験の乏しい通訳者にその機会が与えられないと、将来それらの分野を担う人材が出てこない

などが考えられます。

 

顧客側から見ても、自社の仕事を満足にできる通訳者が、将来にわたって安定して確保できないというのはネガティブなことです。

 

通訳者としてこれから活躍したい人、またこれから通訳を目指そうと言う人にとっても、苦労して身に付けた技術を活かす場になかなか恵まれず、結果的にプロとして収入を立てづらいということになれば、長期的には人材が先細りします。

 

これらをふまえ、通訳会社として

  • 通訳者のキャリアアップ・スキルアップを、顧客の要求する仕事の質との整合性を図りながら、効果的に・効率的にサポートする

ことも、顧客側の立場や、長期的な視点からは、大事な役割だと考えられます。

 

今ある仕事において、顧客満足を生み出しながら、将来にわたってその品質を保つための施策を同時に売っていく。

 

難しい舵取りにはなりますが、ともに重要な観点といえます。