IRとは

IR(=Investors Relations)とは、企業が株主や投資家向けに経営状態や財務状況、業績の実績・今後の見通しなどを広報するための活動を指します。

 

日本株の約3割を外国人投資家が保有する現状において、IRは通訳の主要な活躍の場のひとつです。

今回は、IRで活躍できる通訳者、IRに強い通訳者とはどういったものなのか、お話ししたいと思います。

IRの目的は?

  • 事業会社(発行体)にとって

自社の企業価値が正当に評価される結果として、資金調達コストを低減させる、

投資家やアナリストの意見を経営陣にフィードバックし、経営の質を高める、

安定株主を確保する、などが本質的な目的となります。

  • 株主や投資家にとって

IRにおいて、事業会社のカウンターパートには機関投資家、証券会社、銀行、保険会社、格付け会社、事業会社などに所属するファンドマネジャーや証券アナリスト、個人株主・投資家など様々な対象があります。

得た情報をいかに活用するかという点は、立場によりまちまちですが、投資判断に必要な重要な情報を得るという目的は共通しています。

 

IR通訳の特徴は?

IR通訳には、どんな特徴があるでしょうか?

IR通訳の形態としては、一投資家に随行し、一日に複数の会社を訪問して回る形態もあれば、カンファレンスといった複数の事業会社と投資家が一堂に会して集団お見合いのように行われるイベントにて、特定の事業会社を担当するものもあります。

随行して複数社回る場合は、訪問する会社の分だけ資料を見て準備する必要があり、その点での負荷は大きくなります。

カンファレンスにて特定の事業会社を担当する場合は、その会社についてのみの準備となりますが、入れ替わり立ち替わり、多数多様な投資家とのセッションに対応する必要があります。

また、いずれの場合も、事業会社側と投資家側とのQ&A形式が中心となることがあげられます。

投資家の質問に対して、事業会社の回答があり、またその回答を受けて次の質問につながり・・・といったように、基本的にはシナリオのないラリーが続きます。

 

通訳者に求められるものは?

まず内容として事業会社の経営情報を取り扱ううえで、経営情報の基礎となる「決算書」、具体的には貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書など、財務についての基本的な概念を理解している必要があります。それらはIRにおける共通言語となります。

投資家によっては財務分析用語の略語を、さも一般常識用語のように使うため、事業会社側のIR担当が認知できる言葉に置き換えながら、進めていく必要があります。

また事業内容によっては、非常に専門性の高い、聞いたこともないような製品や技術を取り扱う場合もあり、資料を通して一定の理解をしておくことも重要です。

そしてこれらの会議を、時間制限がある中で、テンポよく、必要な情報が交換できるよう、QとAを上手く噛み合わせていくことが求められます。

言葉としてきれいな表現やうまい言い回しよりは、正確にテンポよくメッセージや情報を伝達することが重視されます。

通訳者に求められる基本的な要素が、網羅的に求められる分野であり、通訳者のキャリアアップの上で、一つの登竜門といえるかも知れません。